特別イベント
2023.12.12

謎を作れ!4話 科学の国の未来くん編~デザイン編~

 ※目隠しポスターまで前回と同じ文章が続きます。既にお読みの方は読み飛ばしてください。

 こちらは、ゴールデンウィークに行った謎解きイベント「未来くんからの挑戦状」と10月~12月に行っている謎解きイベント「科学の国の未来くん」の担当者による小話的な記事となっています。
このページには特に謎は隠されていませんので、謎解きがしたい方は開催中の「科学の国の未来くん」または、科学館以外の謎解きイベントにご参加ください。

※現在開催中の「科学の国の未来くん」の答えのネタバレは行いません。ただ、モチーフなどの話はしますので、「完全に情報がない状態でイベントに参加したい」場合は読まないようにお願いいたします。

目隠しポスター

 謎解きイベント「科学の国の未来くん」も残すところあと1日となりました。
今回のブログは「未来くんからの挑戦状」と「科学の国の未来くん」のデザインに関してです。

 まず、「未来くんからの挑戦状」では、こんな未来くんたちが登場しました。

 こちらは各コースのクリア特典と、両方のコースクリア者への先着ごほうびに使われていた書下ろし未来くんです。この未来くんは展示課長が描いてくださいました。
 チャレンジクイズの目印としても館内に同じテイストの未来くんが掲示されています。こちらのデータファイルには「はずれみらい48」と名付けられており、現在48種類以上の「はずれみらい」が確認されております。なぜ、「はずれみらい」なのかは謎です。
 職員の名札にもイラストが使われていますので、見たことがある人も多いかもしれません。

執筆者Kのお気に入りは水やりみらいくんです

 「科学の国の未来くん」ではイラストをinoue氏にお願いしました。
オーダーは『可愛いイラスト』です。オーダーのとおりとっても可愛い女の子たちを描いていただけました。

可愛い!

 この他にも別バージョンを描いていただきました。問題のほかに、展示場の案内やヒントにも描かれています。皆様はいくつ見つけられたでしょうか?

 この可愛いイラストたちのほかに、薔薇や時計のシルエット、トランプや羊皮紙風の背景などは執筆者Kがインターネットで描き方を検索してそれっぽく描いております。描き方紹介を掲載して下さっていた各種サイト様に感謝です。

 そのほかに、問題やポスターのフレームにはFrame Design(https://frames-design.com/)さんのフレームを利用させていただきました。上のポスターの外枠などがまさにそうです。

 どちらの謎解きイベントでも掲示物の枠(背景)はポスターの枠と同じものを使うようにしています。これは、「デザインを同じにすることで一体感を出すこと」や「イベントで使うものである」と認識してもらうためです。今回は紹介したイラストやフレームを使って、ポスターのデザインが決まるまでの流れ?を紹介しましょう。

 まず、伝えたいことを列挙しました。イベントの名前・内容・開催日・時間・参加費・受付場所などです。次に、どんなテイストにするか、です。今回は「可愛い」がテーマなので可愛らしい色味が使えるフレームを選びます。この時点で謎はほとんど出来上がっていたので、それも考慮しつつフレームや色味を考えます。
「可愛い・女の子・魔法」・・・・・・・・・
これは・・・カードをキャプターするか!
となって、背景の色味は薄ピンク、フォントを参考にしつつ赤っぽくしてっと配色を決めていきます。下の飾り枠の中の色をどうするか悩み、参考にした表紙絵のとおり水色となりました(無印の2巻表紙絵を参考にしました)。

案① 可愛くない。白い空白は日にちが入る予定でした。

 そして出来上がったのが案①です。可愛くありません。まだゴールデンウィークの時のポスターデザインを引きずっている感があります。もう少し可愛くしたいし、文字を減らしたいと試行錯誤したのがこちらの案②です。

案② 文字の削減に成功!しかしまだ可愛くない

 文字は減ったけどあまり可愛くありません。どうするか悩んでいたところアルバイトOさんからアドバイスをいただきました。

タイトルをロゴっぽくして・・・

トランプ兵がペンキで描いてる風にして・・・・・・

文字を一列ではなく大きさを変えて・・・・・・・・・

せっかく可愛いキャラがいっぱいなのだから、ちゃんと配置して・・・・・・・・・・・・

出来上がったのがこちらの案③です。明らかにデザインのレベルが跳ね上がりました。

案③ 可愛い!

 原作のアリスでは、当時の上流階級の嗜みであったトランプとチェスが物語に組み込まれています。
『不思議の国のアリス』にはトランプが。続編の『鏡の国のアリス』にはチェスがとても重要な役割をもって登場します。そのため、今回の謎解きでもトランプとチェスをモチーフに取り入れようとしました。

 けど、日本でのチェスの認知度を考えると白と黒のボードでなんとなくチェス盤は浮かんでも、コマのシルエットを見て何のコマだか分かるほどではないなと思い、チェスは使用を断念しておりました。
このポスター背景の白黒模様はチェス盤をイメージしたものです。

 この案③を元に現在のポスターが作られています。タイトルロゴに少し薔薇の装飾を加えた案④でデザインは完成しました。後は掲載内容のチェックです。

案④ タイトル周りに薔薇をつけ足してさらに可愛く!

 ポスター下部に着けていた英字「From 1988.5.3 until 2023.12.27 Renewal OPEN 2025.XX.X」。1988年5月3日から2023年12月27日まで。リニューアルオープンは2025年のXX月X日という意味でしたが、この文章だと閉館すると勘違いされそうなので、修正となりました。

案⑤ 現在のポスター

 これでポスターの完成です。案②から案③のレベルの違いがすごいですよね。

 ポスター以外のデザインとして、今回のイベントではメインホールやキーボックスから手に入るA5サイズの紙の枠の色には意味があります。それは、今解いている問題と次の問題の色を示すようにしてあるのです。紙をお渡しした際に気が付いてくれた方がいて、製作者としてはうれしい限りでした。
 さて、問題を解いた方はメインホールのスタッフから貰った紙の外枠に日本語と英語が書かれていたのを覚えていますでしょうか。原作のアリスの物語ではトランプやチェスなどの他に、ジャバウォックの詩でも使われるかばん語(混成語)など言葉遊びも多く使われています。紙の外側に書かれた英語と訳もその一部です。

”Why is a raven like a writing desk?”(訳:カラスと書き物机が似ているのはなぜか)

こちらは不思議の国のアリスの中で帽子屋たちがなげかけてきたなぞなぞです。回答の一例として、今回のイベントでは作者ルイス=キャロルが後年に語った回答を載せています。

“Because it can produce a few notes, though they are very flat; and it is nevar put with the wrong end in front!”

(訳)なぜならどちらも非常に単調/平板 (flat) ながらに鳴き声/書き付け (notes) を生み出す。それに決して (nevar) 前後を取り違えたりしない!

問及び回答と訳の引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%BD%E5%AD%90%E5%B1%8B

 各言い回しの解説は引用元を見ていただければと思います。アリスの物語はとてもウィットに飛んだ、面白い作品です。惜しむらくは執筆者Kが英語が苦手なため原作を読めないことですね・・・
当初は各キャラクターのセリフなどを問題の枠部分に入れようと思っていました。ただ、現在の枠の細さで文字を入れていくと視認性がさがり、全体的に見えにくくなるため、紙一枚にだけ入れることとなりました。
 デザインやファッションはマイナスするものだと言いますが、難しいですね。どんどんプラスしてごちゃごちゃしがちです。

 さて、デザインの話はこれくらいにしておきましょう。
まとまりのない文章を書いておりますこのシリーズも、次回が最終回の予定です。
次回はイベント終了後の更新となる予定です。
各問題の解説を含めた解答編でお会いしましょう。 さようなら。
→第5話はこちら